天才画家と知られるピカソ。
しかし、よく言われるのが「何がすごいのか分からない…」という声です。
「わたしにも描ける」という意見は極論にしても、ひと目見ただけではむちゃくちゃで何がどう評価されているのか素人には分かりません。
そこで、ピカソに関する議論を繰り広げていたスレッドがあったのでご紹介します。
「ピカソって何が凄いの?みんな分かったフリしてるだけだろ?」と名付けられたそのスレは、「絵に詳しい奴が共謀して世間を釣ってるようなもんだろ?」という懐疑的な意見から始まります。
それに対する議論が繰り広げられたなか、ピカソのすごさは次の2点に集約されました。
?基礎がしっかりした上で応用を利かせていること
ピカソの初期の作品を見たことはありますか?
これです。
うますぎワロタwww
しかもこれ14歳のとき描いたらしいですwww
わたしたちはいつも「ゲルニカ」や「泣く女」など、いわゆる「どこがすごいかよく分からない」とされるピカソの絵画に触れることが多いですが、このような素人目にも「ちゃんとした絵」として映る写実的な絵画もピカソは描いていたのです。(ちなみにこのような写実的絵画はピカソの時代のスタンダードとされていたものです)
以前、ダウンタウンの漫才に憧れ真似するも失敗してしまう若手芸人の増加を憂いた島田紳介が、こんなことを言っていました。
「ダウンタウンの漫才はピカソみたいなもんや。一見簡単でおれらにもできそうと思えるが、松本は普通にボケることができるうえでタイミングをずらしている。それも分からず、基礎もできてない若手がタイミングをずらしてもそりゃ失敗するで」
ピカソとダウンタウンを一緒にしていいか分かりませんが、基礎がしっかりした上で応用を利かせている点が彼らに共通するすごいところです。
?キュビズムという概念を誕生させたこと
キュビズムってなんでしょうか?
ちなみにウィキペディアには次のように記載されています。
「キュビスム(仏: Cubisme; 英: Cubism「キュビズム、キュービズム」)は、20世紀初頭にパブロ・ピカソとジョル ジュ・ブラックによって創始され、多くの追随者を生んだ現代美術の大きな動向である。それまでの具象絵画が一つの 視点に基づいて描かれていたのに対し、いろいろな角度から見た物の形を一つの画面に収め、ルネサンス以来の一点透視図法を否定した。」
ちょっと難しいですか?
では実際にキュビスムの出発点とされるピカソの「アビニョンの娘たち」を見てください。
アフリカ彫刻に興味を持ったピカソが描いたこの作品ですが、先ほどと同じ画家が描いたとは思えないほど違いますよね。
この画は、「ルネッサンス以来の写実的伝統から絵画を解放した」という点で評価されています。つまり、写実的な絵画がスタンダードな世の中で、キュビズムという新しい概念を美術界に吹き込んだ点が評価されているのです。
ピカソ自身にどのような考えがあったかは分かりません。もしかしたら写実絵画を極めちゃったから単純にキュビズムに走ったのかもしれませんしね。しかし、いずれにせよ、絵そのものよりも絵画の世界、価値観を押し広げた点がすごいという理由でピカソが評価されてるのは事実です。
厳密に言えば、写実主義からキュビズムに至る過程は単純なものではありません。
この記事によれば、ルネサンス以降写実性重視の時代が続いていましたが、写真の発明により、写実性に重きを置く絵画の意義が問われることになりました。そのようななかで、「もっと感じるままに描こう」という思想から印象派、ポスト印象派が生まれ、さらに…
「色とかも見たとおり描かなくていいんじゃないか?」
⇒フォーヴィスム
「形とかも見たとおり描かなくていいんじゃないか?」
⇒キュビズムの登場・・・(ここがピカソです)
「現実にあるものを描かなくてもいいんじゃないか?」
⇒シュールレアリスムの登場
…と続いていくわけです。(ちなみにこの後抽象絵画やドリップアートへ続いていきます)
このなかの「キュビズム」を誕生させたという点でピカソが評価されているわけです。
事実、「アヴィニョンの娘たち」をピカソはごく一部の友人に見せましたが、反応は芳しいものではなかったといいます。しかし、それでも自ら描きたい画を描き続けたことが、結果このような評価につながったのではないでしょうか。
※注:今回の記事はあくまで一説であることをここに記しておきます。
(参考記事)
http://chaosch.blog106.fc2.com/blog-entry-168.html