インターネットやケータイが普及し、時間つぶしにことを欠かない昨今の若者たちは、物理的に美術館に足を運ばなくなっていると言われている。
その状況に一石を投じたのが、アムステルダム国立美術館だ。レンブラントやフェルメールなど、オランダ黄金期の巨匠の作品を数多く所有するアムステルダム国立美術館は、芸術品の説明をラップで聞くことができるという斬新なアプリを開発した。
ラップと美術の融合!?
美術鑑賞とサブカルチャーとみなされる「ラップ」の融合を考案したアムステルダム国立美術館は、2013年に大改装を行ったばかり。しかし、若年層の来館者数が伸びないことから、ケータイを利用してラップでの楽しみながらオランダ黄金時代の芸術を楽しめる趣向を考えついたのだという。
このアプリ、「Rijks Snapguide」と名づけられているが、今のところはオランダ語のみである。オランダの大手アプリ開発会社が6人の若手ラッパーを起用し、過去の偉大な芸術家たちが自己を語る、という構成にしたのだという。
インスタグラムやスナップフォンなどのソーシャルでは、ラッパーたちのフォロワーの間ですでに話題になっているようだ。レンブラント、フェルメール、ハルス、デル・フェルデなど、1600年代のオランダで活躍した芸術家たちの説明を、鮮明な画像とともに堪能できる。
若者の美術離れには有効?
アムステルダム国立美術館のマーケティング部門のある一人は、ケータイやインターネットがない時代には考えもつかなかった手法ではあるが、若者の美術離れにはこうした試みは有効であろうと語っている。
ある研究によれば、若い世代は頭の中で映像を想像する能力が減少してきているともいわれている。アムステルダム国立美術館では、手軽なアプリを利用しラッパーたちのフォロワーがアプリによって美術に親しみ、価値ある芸術品を100万点も所有するアムステルダム国立博物館にぜひ物理的に足を運んでくれることを強く望んでいる。
また、このアプリの開発会社は大変な話題の中心となり、オランダ国王と王妃がイタリアを訪問する際にともにミラノを訪れて、イタリアの美術館関係者と会合をもつ予定もあるそうだ。