今、世界中で「Keep Calm and Carry On」という言葉が流行っているのを知っているだろうか?
ハリウッドスターのファッションや、最新のブランドの間でも、しばしば目にすることがあるこの言葉。実は、意外な歴史があった。
冷静に、戦い続けよ
これは、「冷静に、戦い続けよ」という意味。もともとは、イギリス政府が第二次世界大戦の初期に、国民の士気を高める目的で作成した宣伝ポスターがはじまり。
ところが、限られた数しか用いられなかったため、当時はほとんど知られていなかった。
ところが、このポスターがイギリスのある地方都市で発見されたことで、一気に話題をさらうことになり、なぜか英国の人々のハートを鷲掴みにする。
これに目を付けたのは、サッカーのブランド「Umbro」。スパイクやユニフォームでおなじみの、イギリスを代表する企業は、すぐにこの「Keep Calm and Carry On」のキャンペーンを開始した。
そのキャンペーンがこちら。
これは大ヒットとなり、様々な派生系のポスターが生まれていくことになる。
イギリスの不屈の精神
しかし、この言葉はキャンペーン以降も人気を集める。「爆弾が降る中でも勇気と不屈の意思を秘め、紅茶を入れていたというイギリスの伝説的イメージ」を想い起こさせるこのフレーズは、2000年代の金融危機や、日本の東日本大震災など、様々な場面で話題を呼ぶフレーズになった。
このポスターが当時知られなかったことには、深い理由がある。実は、このポスターはナチスが上陸し始めたら24時間以内に全土に配布される予定で準備されていたものだったからだ。幸いにして、その想定は現実のものとはならず、このポスターは長く歴史の陰に隠れることになった。しかし、言い換えると、この言葉はまさにイギリス人にとって「切り札」のようなもの。
最悪の事態に際して、彼らは「冷静に、今起きていることに対処しよう」という力強いメッセージこそが重要だと考えたようだ。