作品概要
《ブルー・ポールズ:ナンバー11, 1952》は、画家のジャクソン・ポロックによって制作された作品。制作年は1952年から1952年で、オーストラリア国立美術館に所蔵されている。

「ブルー・ポールズ:ナンバー11, 1952」は1952年に制作された。1952年以降、「ドリッピング」(塗料を撒き散らして滴らせる技法)、「ポーリング」(塗料を注ぎ掛けながら線を描く技法)など「アクション・ペインティング」による表現は控えめになる。黒を基調とした「ブラック・ポーリング」へ転換し、形象が復活する。
この時期、ポロックは、「アクション・ペインティング」から新たな絵画技法への模索、アルコール依存症より混迷していた。作品では、青色の塗料にて柱が描かれている。柱の描写には、木材が使用された。キャンバスの下層は黒色にて塗られ、ガラスの破片が埋め込まれている。また、黄色と黒色を混ぜ合わせたような緑色がペイントナイフにて薄く、まばらに塗られている。上層は、赤色、青色、黄色、白色の塗料をポーリングし、複雑に入り組んだ線が引かれている。
また、ポロックは、作品にアルキド樹脂エナメル(顔料とアルキド樹脂ワニスを混ぜ合わせた塗料)やアルミニウムペイントを使用している。制作当時、作品名は「ナンバー11 1952」であった。その後、1954年、シドニー・ジャニス・ギャラリー(アメリカ・ニューヨーク州)にて、初めて展示された際にポロック自身が「ブルー・ポールズ」と付けた。
ポロックの作品では、作品名が数字であるものが多い。数字は偏見や先入観がなく、不偏である為、見る側は純粋な芸術として受け入れることができると考え、敢えて作品名を数字にしたといわれる。
現在、「ブルー・ポールズ ナンバー11 1952」はオーストラリア国立美術館(オーストラリア・キャンベラ)にて展示されている。オーストラリア国立美術館は、1973年に130万オーストラリアドルにて購入したといわれる。
制作当時の世相
ポロックがニューヨークでドリップ・ペインティングを初披露したのは、ちょうど戦後の高揚感が冷戦の不安に取って代わろうとしたしていた時だった。この新たな社会の流れにより、ヨーロッパの影響が感じられるモダニズム作品に抵抗感が生まれていく。アメリカ連邦議会では抽象芸術と共産主義を指摘する声が相次ぎ、『タイム』誌は、「切り裂きジャック」をもじって、ポロックのテクニックを「滴りジャック」と揶揄した。
作品の特徴
そんな世相の中、取り組んだのが本作『ブルー・ポールズ:ナンバー11、1952』だった。エナメル、アルミニウムペイント、ガラスの破片による様々なドリップ、染み、撒き散らし、流し込みが、ポロックの作品に新たな激しさと強度をもたらしている。以前の抑えた色調と比べ、色遣いにも開放感が漂う、めいっぱいの高揚感が感じられる。
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