作品概要
《豆を食べる人》は、画家のアンニーバレ・カラッチによって制作された作品。制作年は1580年から1590年で、コロンナ美術館に所蔵されている。

代表作《豆を食べる人》は、イタリアのバロック期の画家アンニーバレ・カラッチによって1580年から1590年の間(おそらく1583年から1585年)に描かれた風俗画である。
現在はローマにあるコロンナ美術館のギャラリーに所蔵されている。この作品は同じくアンニーバレによって描かれた、オックスフォードのクライストチャーチ美術館が所蔵する《肉屋》と並んでこの時期のイタリアを代表する風俗画として知られている。
この作品の大きな特徴は、この豆を食べる農夫の素朴さと生活感を見事に表現しているところである。木のスプーンで皿から豆をすくう農夫の描写や、机の上にあるパン、ベジタブルパイ、ワインが半分注がれたグラスなど、全てが素朴で馴染み深いものである。その一方で、この作品の斬新的な特徴としてあげられるのが、印象派的表現を感じさせる早く荒々しいタッチによる場面描写である。とはいえその表現が画家の未熟さを示しているわけではなく、人物や部屋に射し込む自然光の捉え方などは写実的で、高度なテクニックが使われていることがわかる。
本作のようなアンニーバレのごく日常を表した風俗画は、同じく16世紀の画家、ヴィンチェンツォ・カンピやバルトロメオ・パッセロッティの描写の影響を受けたとされている。
アンニーバレは風俗画の他にも、宗教画、風景画や肖像画など活躍は多岐にわたり、イギリスで古典主義的美学の基礎を築いたカラッチ一族の中でも特にボローニャ派を代表する画家として評価が高い。
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