作品概要
《アクタイオンの死》は、画家のティツィアーノ・ヴェチェッリオによって制作された作品。制作年は1559年から1575年で、ナショナルギャラリーに所蔵されている。

《アクタイオンの死》は、イタリア・ルネッサンス期の画家ティツィアーノが描いた後期の作品である。1559年頃から1576年にかけてキャンバスに油彩で描かれた。ロンドンのナショナルギャラリーが1972年に特別助成金と寄付でこの絵画を購入し、現在、第六室にて展示している。
二つのバージョン
ティツィアーノが完成させたいと言及していた作品は二つあり、そのうちの一つだと思われている。自身では「猟犬に襲われるアクタイオン」と称していた。これは1559年6月、スペイン国王フィリップ2世へ宛てた手紙から判明している。しかしながら、ティツィアーノが実際に製作をしていたおよその時期は、ほとんど1560年代の終わりから1570年代だと思われている。
この作品は彼にとって満足のいくものではなかったようで、没後の1571年まで工房に置かれたままであった。この作品が完成しているのか未完成なのかの議論が交わされているが、同時期に描かれた《マルシアスの舞踏会》には部分的に署名があり、この作品にはないということから、仕上げ前なのではないかとも言われている。
物語
この作品は《ディアナとアクタイオン》の続作で、物語の悲劇的な結末となっている。より詳しく言えば、ローマの詩人オウィディウスの『変身物語』を汲んでおり、アクタイオンは沐浴している裸体の女神ディアナを驚かし、その仕返しとして雄鹿にされてしまい、自分の猟犬にたたきのめされ殺されてしまうという話である。
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