作品概要
《新聖具室(メディチ家礼拝堂)》は、画家のミケランジェロ・ブオナローティによって制作された作品。制作年は1520年から1534年で、サン・ロレンツォ聖堂に所蔵されている。

メディチ家礼拝堂とは、16世紀から17世紀にかけて造られたイタリア、フィレンツェにあるサン・ロレンツォ聖堂にある2つの建造物「新聖具室」と「君主の礼拝堂」の総称である。メディチ家礼拝堂は、トスカーナ大公と、聖堂のパトロンであるメディチ家を祀るために、15世紀に建築家ブルネレスキによるサン・ロレンツォ聖堂を拡張して建てられている。
新聖具室
新聖具室(Sagrestia Nuova)は、建築家および彫刻家としてのミケランジェロの最高傑作の一つに数えられており、ブルネッレスキとドナテッロによる「旧聖具室」の対を成す形で計画された。新聖具室は、サン・ロレンツォ聖堂の左翼廊に建っている、建築家ブルネレスキの旧聖具室(Sagrestia Vecchia)と対になるようにつくられており、灰色の石材ピエトラ・セレナと漆喰の壁のドームにある立体的な空間を分けている。
1521年から1524年にわたって書かれたミケランジェロの建築についての最初のエッセイで、ミケランジェロはメディチ家の特定の一族へ捧げる記念碑もデザインし、一日の4つ時刻を表現した彫刻像は、同じような後世の彫刻にかなりの影響を与えたと言われている。新聖具室へは、サン・ロレンツォ聖堂の右翼廊の角の目立たない入り口から入れるが、現在は閉鎖されている。
ミケランジェロは、1524年まで、新聖具室の彫刻プロジェクトや建築に熱心に関わっていたが、メディチ家の亡命や、ローマ教皇クレメンス7世であるジュリオ・ディ・メディチの死去などにより、1534年にローマへ半永久的に移住したため、新聖具室を完成させることはなかった。ミケランジェロがローマへ向けて発ったとき、既に殆どの彫刻は彫り終えていたが、新聖具室に設置されてはいなかった。教会の混乱により、そのままになっていたが、のち1545年にニッコロ・トリボーロによって設置され、コジモ一世の依頼で、ジョルジョ・ヴァザーリとバルトロメオ・アンマナーティが1555年に新聖具室を完成させた。
君主の礼拝堂
より大きな「君主の礼拝堂」は、初代トスカーナ大公コジモ1世により設計原案がなされ、最終的には建築家マッテオ・ニゲッティがトスカーナ大公の原案をいれて設計し、第三代トスカーナ大公フェルナンド1世が着工している。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。