作品概要
《ブルータス》は、画家のミケランジェロ・ブオナローティによって制作された作品。制作年は1538年から?で、バルジェッロ美術館に所蔵されている。

《ブルータス》は1538年に、ルネサンス期の芸術家ミケランジェロ・ブオナローティが制作した胸像である。現在は、フィレンツェにあるバルジェッロ美術館に所蔵されている。
背景
《ブルータス》は、枢機卿ニコラス・リドルフィのために、共和主義者ドナート・ジャンノッティによって依頼された。遠戚のアレッサンドロの暗殺によって、ブルータスの名を得たロレンツィーノ・デ・メディチの功績を讃えるために依頼されたと言われている。
彫像《ブルータス》は、ジュリアス・シーザー失脚の首謀者である、ローマ人の政治家の「裏切り」を題材に掘られている。1540年に完成し、ミケランジェロの私情による政治的な解釈を元にして作られた、ただひとつの「胸像」である。
伝統的なこの胸像は、大理石で出来ており、笑う王者のような顔を隠しながら、リーダーである軍の独裁者ジュリアス・シーザーを裏切り暗殺を行った、ローマの元老院議員を表現している。ミケランジェロは、この像を、正義と自由のために、崇高な殺意をもつ顔立ちに仕上げている。
メディチ家とミケランジェロ
《ブルータス》は、ミケランジェロの故郷フィレンツェの失われた自由を題材に作られた後期の作品である。かつては、ジュリアーノ・メディチとロレンツォ・デ・メディチの墓のある、薄暗いサン・ロレンツォ教会のメディチ家の霊廟に置かれていた。
ミケランジェロは、名家に対する、反抗的で受動的かつ攻撃的な行為として、決して完成させなかったメディチ家の墓を装飾するため、本来は、《ブルータス》を含む、12の像の制作を依頼されていた。メディチ家独裁の権力が戻る前に、ミケランジェロのほとんどの作品は完成していた。
この胸像の姿にある、くぼみと暗がりは、後に考えられたようである。このシンプルな胸像は、ミケランジェロの内なる強さを集約しており、作品には、晩年の彼の才能が、情熱と共に込められている。
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