作品概要
《ラケル》は、画家のミケランジェロ・ブオナローティによって制作された作品。制作年は1542年から1545年で、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ聖堂に所蔵されている。

《ラケル》は、ルネサンス期の芸術家ミケランジェロ・ブオナローティによる、旧約聖書の人物・ラケルの彫刻である。
ラケルとレア
《ラケル》は《レア》と同様に、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会にある教皇ユリウス二世の墓廟のためにデザインされ、1542年から1545年にかけて制作された、墓廟を完成させるための最後の部分であった。像は、サン・ピエトロ・イン・ヴィンコリ教会にまだ残っている。
モーゼの両側にあるふたりの女性像の構成は、それらが同じ芸術家によるものとは信じがたいほど、それぞれ違っている。ラケルとレアは、ヴィットリア・コロンナにより具体化されたカトリックの改革運動へのミケランジェロの支持や、信仰との関係性、救いへの期待を表している。
ふたつの像は、教皇ユリウス二世の墓廟の最終段階で制作された。ラケルは、瞑想的な人生の象徴であり、レアは、活動的な人生の象徴である。もうひとつの解釈によると、ラケルは、信仰を意味し、レアは活動的な愛を意味する。ラケルは、聖書における祖であるヤコブの二番目の妻であり、イスラエルの12部族の先祖のふたりであるヨセフとベニヤミンの母である。
ラケルという名の根底の意味は、「良い旅行者の雌羊としての旅」という意味である。
物語
ラケルは、ラバンの娘であり、ヤコブの最初の妻であるレアは姉である。ラケルは、リベカ(ヤコブの母)の姪であり、リベカの兄弟がラバンであり、ヤコブはいとこである。
ラケルは、旧約聖書の創世記29章に登場する。ラケルは、彼女の羊に水をあげようとしているときに、ヤコブに出会う。リベカは、怒り狂う双子の兄エサウから逃すためにラバンの元に、ヤコブを送り出した。ヤコブは滞在中、ラケルに恋し、ラケルと結婚するため、7年間ラバンの元で働くことを誓った。
婚礼の夜、花嫁はベールがかけられていて、ヤコブは、ラケルの姉レアが入れ替わっていることに気が付かなかった。ラケルは愛らしく美しい姿をしているのに対し、レアは優しい目をしている。ラバンは、代償としてもう7年働くことで、同様にラケルを得られるとヤコブに約束した。
ラケルは、子供を産んだレアに嫉妬し、奴隷ビルハをヤコブに与え、彼女を代理の母とした。ビルハは、ふたりの息子を産み、ラケルは、ダンとナフタリと名付けた。のちにラケルは、待望の息子であるヨセフを授かった。
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