作品概要
《ファウヌス(牧神)の仮面》は、画家のミケランジェロ・ブオナローティによって制作された作品。制作年は1489年から1494年で、消失に所蔵されている。

《ファウヌスの仮面》は、およそ1489年ごろ、イタリア・ルネッサンスの巨匠ミケランジェロが制作した彫刻であり、現在は本物は消失している。
出世の契機
《ファウヌスの仮面》はミケランジェロが15歳、16歳のとき制作した、古代ギリシャの作品に、幾つか小さな変更を加えた模刻作品であり、ミケランジェロの大理石彫刻の中で最初の作品として知られている。
コンディヴィのミケランジェロの彫刻に関する批評によると、仮面は前歯の欠けた老人の牧神がモチーフであり、ミケランジェロの仕事に感心したロレンツォ・デ・メディチの好意的な提案により制作されたと述べている。また、ジョルジョ・ヴァザーリによるミケランジェロの伝記によれば、若いミケランジェロは、この作品の制作により、ロレンツォ・デ・メディチの支援を確実なものとしたという。
ロレンツォ・デ・メディチは、イタリアの政治家であり、フィレンツェの共和制の実質的な統治者で、ルネサンス期におけるもっとも強力で熱心なパトロンの一人である。彼は、ボッティチェリやミケランジェロといった芸術家達のスポンサーとして、芸術界に貢献したことで知られている。
消失した仮面
《ファウヌスの仮面》は、かつてはフィレンツェのバルジェッロ国立美術館に保管されていたが、現在は消失している。保管されている作品は本物の仮面なのか複製されたものであるのかは不明である。現在は同じ仮面が、フィレンツェの国立博物館にある。
また、この仮面は、鑑定により、ミケランジェロの初期の作風の印象がまったくみられないので、おそらくミケランジェロの作品ではないと考えられている。
また、影響下の関連作品として、19世紀末にチェーザレ・ゾッキにより制作された《ファウヌスの仮面を掘る少年ミケランジェロ》という彫刻作品がある。
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