作品概要
《ロンシャンの競馬》は、画家のエドゥアール・マネによって制作された作品。制作年は1866年から1867年で、シカゴ美術館に所蔵されている。

競馬は当時の民衆の間で、モダンな楽しみの一つであった。中でも、ロンシャン競馬場は、パリ郊外西部のブローニュの森の中に位置し、フランス競馬の復活の象徴とされる場所で、人々に大変人気があった。初めてレースがおこなわれたのは1857年である。
斬新な構図
本作のモチーフは、ロンシャン競馬場レースの競走馬と騎手たちである。初めて展示されたのは1884年1月、パリのエコール・デ・ボザール国立高等美術学校で、以後何度となく展示されている。
その絵画をはじめて見る者はみな驚いた。競走馬と騎手の群れが、絵を見ている自分に突進してくるような構図。従来の横からレースを観るのではなく、走りこんでくる競走馬と騎手たちを真正面からとらえたもので、人々の度肝を抜いた。
このような構図は、当時の人たちにとって、大変革新的なものであった。
臨場感を表現
中央左に描かれた縦の発走標と、右側の長方形の観客席の屋根を除いて、全体的に不鮮明にぼんやりと描かれている。背景のブローニュの森もしかり。ぼんやり不鮮明である。
これは、モチーフである競走馬の臨場感を高めたいがゆえの、マネの計算である。
レースの最後の瞬間を切り取った本作には、まさに今、競走馬たちがゴールラインを勢いよく通り過ぎる様子がみずみずしく描かれている。
本作を見る者に、まるで自分も競馬場にいるかのような臨場感を感じさせてくれる作品である。
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