作品概要
《ドラ・マールの肖像》は、画家のパブロ・ピカソによって制作された作品。制作年は1937年から1937年で、徳島県立近代美術館に所蔵されている。

ドラ・マールは1907年フランス生まれのシュルレアリスム系統の写真家、画家である。ピカソの愛人の1人でもあり、二人は1963年に交際を始めた。その頃もう一人の愛人であるマリー・テレーズ・ウォルターが娘のマヤを出産したばかりで、ピカソの生活は安定していたが、マールは持ち前の美しさと知性でピカソの心を掴んだ。
ピカソは正妻のオルガとは不仲で、マールが現れたことによって、3人の女性の争いが繰り広げられるようになった。
ピカソへの影響
パブロ・ピカソとドラ・マールが付き合っていたのは1930年代から1940年代にかけての10年間だ。アルゼンチンで育ち、最初は絵の勉強をしていた彼女だが、1930年代にシュルレアリスム写真家として有名になる。
2人の関係は騒動が絶えなかったが、マール以外の従順な愛人とたちと付き合っていた時期に比べて、ピカソははるかに興味深い作品を生み出している。
《ゲルニカ》への助言
ピカソにとってマールはミューズでありモデルであり仲間であり、彼の知性を刺激するスパーリングパートナーでもあった。マールは反戦絵画の傑作《ゲルニカ》を描く助言をしたと言われている。制作にあたっては、写真家として正確過程の記録などでピカソを支えてきた。
本作品の特徴として、同年に制作された《ゲルニカ》や《泣く女》と比較すると大きく印象が異なり、明るい雰囲気が感じ取られる。また、赤く塗られた長い爪やはっきりした二重の瞳にはマールの美しさに加え、意志の強さや知性など、マールの内面も捉えて上手く表現されている。
また、横顔を描いているはずだが向かって左側の目は正面を向いている。そして鼻の穴が2つ見えており、物を見るためには瞬間的に見るだけでなく、頭で認識する時間が必要と気づいたのだ。本作品にはそのようなピカソの考え、キュビスム(立体主義)の手法が表されている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。