作品概要
《読書する聖ヒエロニムス》は、画家のジョルジュ・ド・ラ・トゥールによって制作された作品。制作年は1621年から1623年で、ハンプトン・コートロイヤル・コレクションに所蔵されている。

『読書する聖ヒエロニムス』は、フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールによって1621年から1623年頃にかけて描かれた絵画である。眼鏡を使って読書に集中する聖ヒエロニムスの姿が描かれている。
ジョルジュ・ド・ラ・トゥールはフランスのロレーヌで生まれ、人生の大半をその地で過ごした。彼の作品にはイタリア絵画や北部のカラヴァッジョ派の影響が表れているが、ラ・トゥールがイタリアやオランダに滞在したという確たる証拠はない。ラ・トゥールの技法は個人的かつ他にはない独立したものだった。しかしながら、彼自身の署名や制作年の入った作品は数が限られており、彼の絵画技法の発達や変化を分析するのは難しい。
この作品は、彼の初期作とみなされているフランスのトゥールーズ・ロートレック美術館にある「十二使徒」シリーズ(アルビの大聖堂を装飾するために制作されたもので、アルビの使徒とも呼ばれる)と類似したところがあり、比較されがちである。その中でも聖ヤコブ、聖フィリポ、聖パウロは構図などが似ており、特に関連性がある。また、ルーヴル美術館には本作の別バージョン(喪失後の模写)がある。構成はより洗練されており、ヒエロニムスはやや上から見下ろされた形で描かれ、前景にはさまざまな静物が置かれている。カラヴァッジョから影響を受けた作風の先駆けであるこれらの作品は、すべて1621年から1623年頃にかけて描かれたものであると考えられている。
髪や肌の自然な描写、眼鏡などの細部描写、枢機卿の赤いローブの鮮やかさ、とりわけ人物を強く照らしその姿を浮かび上がらせる神秘的な光などに、ラ・トゥール作品の特徴を見ることができる。
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