作品概要
《キリストと姦淫の女》は、画家のレンブラント・ファン・レインによって制作された作品。制作年は1644年から1644年で、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

こちらの宗教画は、おそらくはアムステルダムの美術商ヨハネス・デ・レニアルメの1657年の目録に記されているものと同一だと思われる。
新約聖書ヨハネ福音書から題材を取っているものである。ある女が姦淫の罪を犯し、ファリサイ派の民や律法学者らがその女の罪を問おうとイエス・キリストの前に連れてきた。この罪は律法では石打ちの死刑に値するとして、イエスにその刑を要請した。その時、イエスは聴衆に言った。「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」
この言葉を聞いて聴衆は誰も女に石を投げることができず、イエスはこの女を許したという。
この作品が作られた頃は、レンブラントの転換期とも言える出来事が次々に起こった。妻のサスキアが結核で亡くなった。レンブラントは彼女との間に4人の子供をもうけたが、成人を迎えられたのは1人だけだったという。病気の妻の看病や子供の世話をする女性が近くにおらず彼は乳母を雇うが、のちにこの女性と愛人関係になったと言われている。また、レンブラントは意欲的な創作活動に戻るも批判を受けるようにもなった。
依頼主の意向にそぐわない彼の作品や、完璧主義がゆえに絵画の納品までに時間がかかり依頼主と関係が悪化してしまうなど、レンブラントへの絵の依頼は徐々に減っていった。この作品は「罪を犯さない者などいない」というメッセージ性が込められているという解釈もあるが、当時のレンブラントの翳りゆく心境を表していると指摘する声もある。
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