作品概要
《赤いチョッキの少年》は、画家のポール・セザンヌによって制作された作品。制作年は1888年から1890年で、バーンズ・コレクションに所蔵されている。

セザンヌの試み
セザンヌは印象主義に、古典主義と強い主知主義を織り交ぜた。赤いチョッキの少年は単純な肖像画だが、詳しく観ると、全く違うものに変化する。この作品は、色と形における極めて現代的な取り組みであり、赤、茶、青、そして白の色面がはっきりした単純な形で仕切られている。
一度使った色を他の場所にも使い、色幅を制限する事で調和を生み出している。また、何本もの斜めの線が交差し、互いに影響し合っている、例えば、左側のカーテン、少年の曲がった背中と左腕などが挙げられる。画家はどこにでもあるシーンを分解し、それを最初から組み立て直した。
セザンヌの関心事
本作からは画家の最大の関心事の2つが見て取れる。1つは、周りの世界の根底にある構造を探求する事であり、もう1つは、3次元の形態を表現するという難題を解く事だった。
セザンヌはこの絵でこれらのことを成し遂げている。この作品全体としての効果は高く、セザンヌを現代絵画の「父」と呼んだ、ブラックやピカソのキュビズムの作品への道を開いた。
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