作品概要

二つの炎のあるマグダラのマリア》は、画家のジョルジュ・ド・ラ・トゥールによって制作された作品。制作年は1638年から1643年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

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ジョルジョ・ラ・トゥールが好んで描いたものは二つある。一つはろうそく、そしてもう一つはマグダラのマリアである。ろうそくは、描かれていない絵画を見つけることが難しいほどに多くのラ・トゥール作品に登場する。また、はっきりとした明暗の対比の中に場面を描くことにこだわったテネブリズム画家には欠かせない重要なアイテムであった。マグダラのマリアが描かれた作品は、これを入れずにあと四つある。どれも似た構図で、ろうそくや彼女のアトリビュートであるどくろが室内に座る彼女とともに描かれている。「悔悛するマグダラのマリア」という主題は、彼女が晩年を過ごしたと言われる洞窟を背景に描かれることが多く、このように室内に描かれるのは珍しい。

ティツィアーノ、グイド・レーニなども同様の主題でマグダラのマリアを描いているが、どれも手を胸に当て、絶望と情熱を含んだ瞳で天を見上げるという描かれ方で、これは彼女を描く際の一種の型となっていた。また、恍惚とした表情に彼女の過去(売春婦)も重ね合わせ、そこに宗教的というよりも性的なエクスタシーを描き出そうと試みるカラヴァッジョのような画家もいた。しかしラ・トゥールが描くマグダラのマリアはそうした恍惚とは無縁であり、ただひたすら静かで一切の波の立たない空間の中、瞑想に心を沈める改心した姿として描かれている。

この作品に特徴的な鏡は、女性の誘惑や罪深さの寓意として描かれてきた。しかしそこに映し出された炎は、彼女が売春婦と言う過去を乗り越え、信仰の炎を胸に宿したということを表している。

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基本情報・編集情報

  • 画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥール
  • 作品名二つの炎のあるマグダラのマリア
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年1638年 - 1643年
  • 製作国不明
  • 所蔵メトロポリタン美術館 (アメリカ)
  • 種類油彩、キャンバス
  • 高さ133.4cm
  • 横幅102.2cm
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