作品概要
《聖母子(1426年)》は、画家のフラ・アンジェリコによって制作された作品。制作年は1426年から1427年で、ピアセカ-ジョンソン コレクションに所蔵されている。

この絵は、イタリア・トスカーナの画家、フラ・アンジェリコの作品である。15世紀前半のフィレンツェを代表する画家である。彼は宗教的モチーフを題材とした絵画を描く才能に優れていたため、「福音アンジェリコ」を意味するベアート・アンジェリコという別称を持っていた。
フラ・アンジェリコはこの作品制作当時、彼の3人の師の一人とされる、画家マザッチョの手法に関心をいだいていた。マザッチョは、1422年に画家としてデビュー後、一貫して硬質な彫刻的作品を描き続けた。当時の主流であった「国際ゴシック様式」とは少しも共通点がなく、絵を見る人々に三次元の空間が広がるような表現方法を探求する。そして、ブレキレスが1415年頃に発見した「幾何学的遠近法」の重要性を認識する。
フラ・アンジェリコは「聖母子」のいくつかにおいて、この「幾何学的遠近手法」を取り入れている。マザッチョの絵画には粗さが目立つ作品も多いが、フラ・アンジェリコの作品には立体的な空間の表現だけでなく、細部にまで細かく描写する事も重要視した。この結果、フラ・アンジェリコはフィレンツェで最も完全な画家として評価されることになる。
この作品でフラ・アンジェリコは、明確な方向性を持つ光を画面いっぱいに表現することで、マザッチョの画風を完全に取り込んでいる。また、色彩も考慮し、薄暗い聖堂の中でも、明るい色調の絵ならばより見やすく、読み取りやすくなると考えた。
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