作品概要
《女占い師》は、画家のジョルジュ・ド・ラ・トゥールによって制作された作品。制作年は1630年から不明年で、メトロポリタン美術館に所蔵されている。

『女占い師』は、フランスの画家ジョルジュ・ド・ラ・トゥールによって1630年頃に描かれた絵画である。1960年にニューヨークのメトロポリタン美術館に購入され、現在に至る。本作がラ・トゥールの真作であるかどうかは疑問視されていたが、一般的にはラ・トゥールの作品であると認められている。ラ・トゥールは、単一光源による明暗のコントラストが特徴的な宗教画によって有名な画家であるが、本作は画面全体が明るい、画家には珍しい昼の場面を描いた絵の一つと言える。
この作品は、右側にいる女占い師が金持ちの若い男を占っている場面を描いている。女占い師は占いの一環として彼からコインを受け取っている。描かれている女性のほとんど、または全てがジプシーであり、泥棒として描かれている。一番左側の女性は、占いに夢中になっている若者のポケットから財布を抜き取ろうとしている。その奥にいる女性はその財布を受け取るために手をすぐそばに添えている。若者のすぐ右側にいる色白の女性の顔はあまりジプシーらしく描かれていないが、彼女もまた若者が身に着けている金鎖を切ってコインを手に入れようとしている。人物たちはさながら演劇のように密接に寄り集まっているが、これは実際に演劇の場面から影響を受けた構図かもしれない。
本作は現代に入って「発見」された作品である。その発見は、ラ・トゥールの作品をモノグラフで見ていたフランス人捕虜が、親族の城に掛けられていた絵に似ていると気づくことまで遡ると言われている。博識な司祭はそれをラ・トゥールの作品であるとみなし、ルーヴル美術館に知らせた。しかし1949年、ルーヴル美術館より高い額を提示した美術商によって購入され、1960年にはメトロポリタン美術館が非常な高額で入手した。本作がフランス国外に持ち出されたことはメディアで論争となり、当時の文化大臣が国会で釈明する事態となった。
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