作品概要
《聖ゲオルギオスとドラゴン》は、画家のティントレットによって制作された作品。制作年は1555年から1558年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

『聖ゲオルギオスとドラゴン』(聖ゲオルギオスは聖ジョージとも言われている。)は、イタリアのルネサンス画家、ティントレットによって描かれた作品である。
『聖ゲオルギオスとドラゴン』には、聖ゲオルギオスが海辺でドラゴンを倒そうとしているシーンが描かれている。逃げる王女の姿が主として描かれ、中央にはドラゴンが今にも食べようとしている死体が横たわっている。父なる神の姿は空に描かれている。青色やバラ色は、死体や聖ゲオルギオスの服地の色に使われ、空にはピンクと青みがかかった雲が描かれている。
海岸線は鑑賞者の視点を画像空間へと戻し、斜めに傾いた木の幹と王女によって形成されたV字形は、絵の構図を固定している。絵の高い位置に描かれた地平線は、作品に対して緊張感と劇的な効果を作り出している。
キャンバスのサイズが小さいことから、『聖ゲオルギオスとドラゴン』は家庭で祈祷を捧げるために制作された作品であることを示唆している。『聖ゲオルギオスとドラゴン』は、1648年に初めて、ヴェネツィアのパラッツォ・コルネール(ルネサンス建築様式の邸宅であり、現在はヴェネツィアの県庁舎として使用されている。)の作品として記録されているが、コルネール家のために制作されたかどうかは定かではない。
『黄金伝説』には、聖ゲオルギオスはドラゴンから乙女を救い出した、カッパドキア(現在のトルコ)の騎士であり、その勇気ある行為により、多くの人を改宗させたと語られている。(乙女の村は異教の村であったが、聖ゲオルギオスが乙女をドラゴンから救い出す際、村の者がキリスト教徒になるならば、ドラゴンを倒すと言い放った。)しかしその後聖ゲオルギオスは、キリスト教徒を嫌う異教徒の皇帝、ディオクレティアヌスから受けた迫害の結果、殉教している。
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