作品概要
《3人の哲学者》は、画家のジョルジョーネによって制作された作品。制作年は1505年から1507年で、美術史美術館に所蔵されている。

『3人の哲学者』は、ジョルジョーネの生前、最後の2年間に描かれた絵である。近代の様式分析による調査では、ジョルジョーネが描き始め、セバスチャーノ・デル・ポンボ (Sebastiano del Pombo)が仕上げた共同作品と言われている。主題については、長い間論争の種となって来た。3人の哲学者 (あるいは数学者) という見方に加え、左の洞窟に聖家族が居る、東方の三博士を描いたのではないか、との憶測も呼んでいる。
正確なところは兎も角、3人の男性がそこにはおり、それぞれ特徴的な気質と異なった民族性が窺える。そこには重要なペンティメントがあり、ジョルジョーネがテンペラよりも、より好んだ油性絵具で簡単に仕上げられている。その後の複製画から診るに、現存の絵は、全辺が切り落とされている。共同作業の要素があったとしても、創案、人物像、ポーズ、3人の関連性は、ジョルジョーネが創ったものである。セバスチャーノは、文字通り仕上げたに過ぎない。つまり、表面を仕上げ、要素を纏めたに過ぎない。
3人の哲学者の人物像は、云わば風景の一部であるかのように何の関連性も無く、重みも無く、静かで空間にぼんやりと佇んでいるかのように見える。例えば、若者は全体の中心に座り、その一部は深紅の東洋風上着の一部に隠れ、頭部横顔は後ろの2本の木と全く関連性が無い。ジョルジョーネの描く自然で独自の世界は、そのミステリアスで詩的且つ非科学的構造、古典的とは言えない人物像、ポーズの選択により私たちを覆い包んでしまう。
この絵は、ブリュッセルのレオポルト・ヴィルヘルム絵画館の収蔵作品であり、(現在マドリードのプラド美術館にある) ダフィット・テニールスの作品として公開されている。テニールスもやはり、この絵をかなり修正した(現在ダブリンのアイルランド国立美術館にある)複製画を描いている。
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