作品概要
《聖母戴冠(1430年)》は、画家のフラ・アンジェリコによって制作された作品。制作年は1430年から1435年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

この祭壇画は、15世紀前半のフィレンツェを代表する画家であるフラ・アンジェリコにより描かれた数ある聖母戴冠の中の一つである。1430~1435年に描かれたもので、パリのルーヴル美術館に所蔵されている。
1435年にフィエゾーレのサン・ドメニコ修道院の付属聖堂が正式に竣工される。その少し前にフラ・アンジェリコはここでの三番目の祭壇画である「聖母戴冠」を制作した(一番目は「聖母子と聖人たち」、二番目は「受胎告知」)。
ウフィツィ美術館所蔵の「聖母戴冠」とは異なるところがいくつか観られる。金色の背景が消え、より現実的な明るい青空に置き換えられている。その当時の最高の画家と言われているマサッチョの影響を受け、構成は進化している。ガッディ家の為に描かれたこの祭壇画は、今までにはない幾何学的遠近法の手法が取られている。さまざまな色に彩られた床は、見る人を引き付け、自分が絵の中にいるかのような錯覚を起こさせる。
戴冠式が行われている上部には、三つの部分に分割されている天蓋が描かれている。この天蓋は、床の遠近法に対応していない。写実的な表現は部分的なものにとどまっている。
フィレンツェに所蔵されているほかの作品と同じように、天使と聖人達は中央を取り囲むようにしている聴衆として描かれているが、背後の描写に至るまで、明確に描かれている。祭壇画のプレデッラは、聖ドミニクの軌跡と、中央にキリストの復活を描いている。意図的に天上の世界とは対照的に描かれている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。