作品概要
《聖ヒエロニムスの幻視》は、画家のパルミジャニーノによって制作された作品。制作年は1526年から1527年で、大英博物館に所蔵されている。

《聖ヒエロニムスの幻視》は、マニエリスム全盛期に数々の名作を残したイタリア、ルネッサンス期の画家パルミジャニーノよって描かれた幻想的かつ特異的な作品である。
この作品は、縦343cm,横149cmの大きな作品であり、1526年1月3日、ローマにあるサン・サルヴァトーレ教会の中の家族が祈祷する礼拝堂へ飾る為、アントニオの妻、マリアによって、パルミジャニーノに依頼された。
ルネッサンス時代の芸術家の伝記作家ジョルジョ・ヴァザーリによると、パルミジャニーーノはローマ略奪の最中この作品に取り組んでおり、帝国軍の制圧によってパルジャミーのは一時拘束され、作品を描くことをやめなくてはならなくなった。しかし、ドイツの兵士達が作品のすばらしさのためにパルミジャーノを特別に丁重に扱った。その後、別の兵士によって捕らえられ投獄されたが、その際、ローマに残った叔父の手によってサンタマリア教会の廊下に作品を隠し、なんとか完成することができた。また、パルミジャニーノ自身も叔父の助力でローマを脱出、ボローニャに移り画家として活動を再開させた。
地面に横たわっているのは、3世紀から4世紀にかけて活躍した伝説の聖書学者、聖ヒエロニムスだ。深い瞑想によって意識が薄れ行く中で彼が見た威光に包まれた聖母マリアとその子イエス、そして左下で鋭い眼光をこちらに向けているのが絶対者の存在を示す洗礼者聖ヨハネである。
ここに描かれたイエスの姿は一風変わっており、長身、かつ幼児とは思えない端正なたたずまいであり、この作品の大きな特徴となっている。
現在はイギリスの大英博物館に展示されている。
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