作品概要
《眠れるヴィーナス》は、画家のジョルジョーネによって制作された作品。制作年は1508年から1510年で、アルテ・マイスター絵画館に所蔵されている。

『眠れるヴィーナス(Sleeping Venus)』は、イタリアの巨匠ジョルジョーネが最晩年に手掛けた作品の一つであり、彼の代表作品のひとつでもある。
縦108.5cm×横175cmの大きな裸婦画であり、一人の裸婦に着目し細部まで繊細に描かれた作品はそれまでに前例がなく、その時代に大きな衝撃を与えた作品でもあり、またその後の西洋裸婦画の方向性に大きな影響を与えた。晩年、ジョルジョーネ自身で完成させておらず、彼の死後、『ウルビーノのヴィーナス(Venus of Urbino)』で知られるティツィアーノ(1488-1490年頃-1576年)が、空や風景を加筆し完成させられたとなっている。
穏やかな表情で眠っているヴィーナスの裸体、柔らかな曲線と輪郭は、温かみのある色彩で描かれたその背景にある丘と、溶け込むような一体感を持っている。ヴィーナスがかかげている右腕から下腹部にかけての輪郭、また添えられている左手が官能的な美しさを表している。
彼女の足元にある寒色系のシーツは、それまでの温かみのある色彩での表現方法とは異なり、背景とのコントラストを生み出し、その後のティツィアーノやベラスケスの絵画にもその影響を見ることができる。また、本作品を解説したノートに残された記載によると、当時は背景にキューピッドが描かれていたが、その後、塗りつぶされたとされている。
別名『ドレスデンのヴィーナス(Dresden Venus)』とも呼ばれており、現在は、ドレスデンのアルテ・マイスター絵画館(ドイツ)に貯蔵されている。
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