作品概要
《スメラルダ・ブランディーニの肖像》は、画家のサンドロ・ボッティチェリによって制作された作品。制作年は1470年から1475年で、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に所蔵されている。

《スメラルダ・ブランディーニの肖像》は、およそ1475年にイタリア・ルネサンスの画家サンドロ・ボッティチェリによって描かれたパネル絵のテンペラ画である。ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館に所蔵されている。
肖像のモデル
モデルの人物は、おそらくスメラルダ・ブランディーニ本人ではない。絵の下の部分の、窓の下枠の碑文には、モデルは彫刻家バッチョ・バンディネッリの祖母だと書かれている。1530年に、バンディネッリは彫刻家として姓をとったので、その碑文は、後日付け加えられたものらしい。
碑文の証拠により、この肖像のモデルは、「エスメラルダ(スメラルダ)・ドナチ・ブランディーニ」、であり、又の名を「ヴィヴィアーノ・ブランディーニの妻」、「著名なフィレンツェ人、ガイオーレの金細工師ミケランジェロ・ヴィヴィアーノ・ブランディーニの母」、「彫刻家バッチョ・バンディネッリの祖母」であると推測されている。
作者の論争
この肖像画は、1470年代に、ボッティチェリの弟子のひとりによって描かれたとも言われている。ウィリアム・マイケル・ロセッティは、「評論家によれば、この肖像画は、ボッティチェリ自身の作品ではない。Amico di Sandroという名の誰かの作品だ」と述べている。しかし、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館は、まだその絵画をボッティチェリ自身の絵だとしている。
かつて、この肖像画は、イニャツィオ・ハンガーフォード二世の贋作のひとつであると疑われていた。美術史家ジュリア・カートライトは、ガイオーレのミシェル・バンディネリの妻がモデルと言っている。そして、ボッティチェリの弟子の作品だとしている。カートライトは、彼女をスメラルダと呼び、ミシェルは、長年のあいだ顧客としてメディチ家をもつ才能ある金細工師だったと述べている。
画題
美術史家によれば、この絵の中での薄いオーバードレスは、《モナ・リザ》が身につけているグアルネッロに似ていることが確認されている。
モデルは、軽い夏のガウンを着ている。背景の場所はわかっておらず、ロジアかまたは屋外柱廊であるといわれている。
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