作品概要
《聖木曜日の洗足式》は、画家のティントレットによって制作された作品。制作年は1548年から1549年で、プラド美術館に所蔵されている。

『聖木曜日の洗足式』は、イタリアのルネサンス画家、ティントレットによって1548年から1549年の間に制作された作品である。
『聖木曜日の洗足式』には、新約聖書のヨハネ福音書13章の1から20節までのシーンが描かれている。洗足式とは、キリストが他者への謙遜と奉仕の行いとして、最後の晩餐の直前に、使徒である聖ペテロの足を洗ったことである。
洗足式の場面で、絵の中でも主となる登場人物であるはずのキリストと聖ペテロが、画面の端に描かれているのは、『聖木曜日の洗足式』の描かれた場所が、サン・マルクオーラ教会の聖職者席の右壁だったからである。『聖木曜日の洗足式』を右側から見ると、非常に筋が通っているように見える。人物たちの間にあった不自然な空間は消え、キリストと聖ペトロを始点に、テーブルとテーブル周りの使徒たち、そして真の消尽点である運河の背後のアーチが、きちんと一直線上に並んだ構成が現れる。
右側に描かれた別の部屋では、最後の晩餐の祝賀が行われている。最後の晩餐のシーンが、『聖木曜日の洗足式』に含まれていることは、新約聖書の中で2つの場面は連続しているため適当である。『聖木曜日の洗足式』の絵画の中だけでなく、サン・マルクオーラ教会の聖職者席の壁画には、絵画『最後の晩餐』もティントレットによって描かれており、聖木曜日の洗足式と最後の晩餐のシーンの関連性を示唆している。
『聖木曜日の洗足式』は、イングランド王のチャールズ1世の手に渡っていた。チャールズ1世が処刑された際、ルイス・メンデス・デ・アロ(スペイン王の甥)が『聖木曜日の洗足式』を購入し、フェリペ4世 (スペイン王)へ贈った。フェリペ4世は、1936年にプラド美術館へ移されるまで、『聖木曜日の洗足式』をエル・エスコリアル修道院の聖具保管室へ飾っていた。
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