作品概要
《コリントの遊女ライス》は、画家のハンス・ホルバインによって制作された作品。制作年は1526年から1526年で、スイスに所蔵されている。

『コリントの遊女ライス』は、ハンス・ホルバイン(子)によって1526年頃に描かれた絵画。スイスのバーゼル美術館に所蔵されている。
客から高額な報酬を得ていたことで知られる古代ギリシャの高級娼婦、コリントのライスが描かれている。ライスが古代の画家アペレスの恋人であったことを表す意図もあるのではと言われている(ホルバインは人文主義者の仲間より「アペレス」と呼ばれていた)。モデルは、同じくホルバインによる『ヤコプ・マイアーの聖母』、『ヴィーナスとアモール』でも起用されている、画家の愛人であったマグダレーナ・オッフェンブルクだと考えられている。
本作は『ヴィーナスとアモール』の一、二年後に描かれている。もともとホルバインは続きを描いたつもりではなかったにも関わらず、『ヴィーナスとアモール』の連作のような扱いとなっている。高級娼婦としての描写の中に、モデルの彼女との関係性について隠されたメッセージが含まれているのではと唱える論者もいるが、美術史家ピーター・クラウセンはこの解釈を「全くナンセンスだ」として退けている。
どちらの作品も同じ色を使い、同じ衣装やカーテンを描いている。ホルバインは、イタリア訪問時に学んだレオナルド・ダ・ヴィンチやロンバルディアの壁画家達の技法を採用している。手前に手すり台を置くことによって描かれた人物と鑑賞者を隔て、ダ・ヴィンチのスフマート(ぼかし)技法を使って人物の肌の色調を溶け合わせている。
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