作品概要
《船乗りの肖像》は、画家のアントネッロ・ダ・メッシーナによって制作された作品。制作年は1465?年から1476?年で、チェファルー マンドラリスカ美術館に所蔵されている。

その注文主も出所もまったく不明の作品「船乗りの肖像」は、パレルモの男爵が購入し、薬局の窓口を飾っていたという特異な歴史を持つ。現在は、チェファルーのマンドラリスカ美術館が所蔵している。
名も不明な船乗り
名前も知られていない船乗りの肖像画は、当時の船員の制服に身を包み黒いベレー帽をかぶっている。美術史家のロベルト・ロンギは、絵のモデルが貴族や裕福な家庭の一員である可能性を否定している。
しかし、この不適な笑みを浮かべた船員の肖像は現在ではすっかり有名になり、「モナリザの微笑」を模倣して「船員の微笑」とも呼ばれている。また、シチリアのアイデンティティーの象徴として扱われることも多く、ひとつの芸術作品という枠を超えた存在となりつつある。1950年代と1981年に、ローマ中央修復研究所で修復が施され、現在に至っている。
アントネッロ・ダ・メッシーナが人物像を描くときによく用いた技法で、背景を黒くして人物がより印象的に浮かび上がるようになっている。
ユーモアと力強さ
船員の肖像画はさらに、人物の衣服も最低限の色しか用いず、そのぶん赤茶けた船乗りの肌の色が際だつようになっている。不思議なほほえみといたずらっ子のようなこちらに向けられた視線は、アントネッロ・ダ・メッシーナがたびたび作品上で披露した彼のユーモアがよく表わしている。また、この男性のもつ「力強さ」もポジティブに表現されている。
また、アントネッロ・ダ・メッシーナの特徴である、人物の右側からあたる強い光線による陰影が、作品によりメリハリを与え人物の人格を強調する効果を出している。
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