作品概要
《幼児イエスを礼拝する聖母》は、画家のコレッジョによって制作された作品。制作年は1524年から1526年で、ウフィツィ美術館に所蔵されている。

この作品は1617年にモデナ公フランチェス1世からトスカーナ大公国のコスモ=メディチ2世に贈られ、当時フィレンツェの行政施設であったウフィツィ庁舎の美術品ルームに1634年まで展示されていた。この作品について史料が残っているのはここまでで、辿ってきた経緯は多くが謎に包まれている。
まずこの作品の生まれた経緯ははっきりとは示されていない。一説によると依頼主はルネサンス末期の伝記作家、ジョルジョ・ヴァサーリとされており、その後現在のエミリア=ロマーナ州にあるレッジョ・エミリアへと渡った、とも言われている。
依頼された時期がはっきりしていないため、その製作期間についてもはっきりとした資料は残されていない。しかしその様式・構図に、1524年から1526年にかけて製作された『十字架の降下』や『四聖人の殉教』のものと多く類似する点を持っているため製作時期が推定されている。
15世紀から17世紀初頭にかけてこのモチーフは多く描かれているが、この作品はとりわけ聖母マリアを中心に描いていること、そして背景の大きさに特色がある。鮮烈な赤・青・黄の衣服をまとった聖母マリアは藁の上に寝かせたイエスを祝福している。またコレッジョはその周りに広がる空間も描いており、それらの対比から、マリアの敬虔で崇高な精神性が表現されている。
本来第二の登場人物としての(あるいは信仰の対象としての)キリストの描写に技巧を凝らす作品が多くあった中、コレッジョの作風は彼のオリジナリティーを十分に感じられるものへと仕上がっていった。
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