作品概要
《一日の四節、朝》は、画家のウィリアム・ホガースによって制作された作品。制作年は1738年から1738年で、大英博物館に所蔵されている。

《一日の四節》は、1738年にウィリアム・ホガースが自己の絵画を元に版画として作成した四枚組の作品である。本シリーズでホガースは、一日の流れに合わせ、ロンドンの多様な場所における日常を切り取って描いた。
一枚目の《朝》は、取り澄ました様子のオールド・ミスが、コヴェント・ガーデンの教会に向かう様子とその周囲の有様を描く。
図像解説
《朝》の描く場所は、コヴェント・ガーデンのウェストエンドである。道端のトム・キングズ・コーヒーハウスの前では、男が売り子の女性の胸を弄んでいる。教会に向かうオールド・ミスは、その様子に行き合いショックを受けたのか、扇子で口を隠している。
場所の中心に描かれるのは現在ロンドン市長の邸宅として使われているトマス・アーチャー邸で、ホガースの同時代にはまだアーチャー本人の所有であったという。また、コーヒーハウスは営業が終わっても酒飲みたちに飲む場所を提供していることで悪名高かった。
絵の中では酒飲みたちが朝になっても喧嘩を続け、カツラが飛び交う一方で、売り子が青果を道に広げて商売をはじめようとしている。子供が二人、学校に行く途中で市場の賑わいに足を止めている。
冷たいオールド・ミス
肩をすくめて震えるお付きの少年とは対照的に、オールド・ミスは寒さにあまり凍えていないようであるが、これは彼女の性格が冷たいことを表していると言われている。
オールド・ミスは偽善の象徴であり、お付きの少年が凍えているのにも関わらず、オコジョの手袋を貸そうともしていない。火に当たる手前の女性の一人が彼女に手を差し出し物乞いをしているが、彼女は気づかない振りをしている。
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