作品概要
《ダリ自身の光と影を含んだ、マルガリータ王女を描くベラスケスの絵》は、画家のサルバドール・ダリによって制作された作品。制作年は1958年から1958年で、プラド美術館に所蔵されている。

本作は1958年に完成され、大きさは縦154cm、横92cmと大きめの作品である。本作に描かれている女性は、スペイン王フェリペの4世の娘であるマルガレーテ・テレジアだ。この女性の肖像画を描いたことで知られるディエゴ・ベラスケスは非常に有名である。ダリはベラスケスを非常に尊敬しており、その敬愛をこめてこの作品を製作した。
描かれたベラスケス
この絵において、ベラスケスは左下の影で表現されている。ダリはまたスペイン王と王女も尊敬しており、君主政治や貴族政治の考えを称賛している。このことは一部のデモクラシー派にとって嫌われている要因となっている。
ダリは、ベラスケスの技法の中でも、特にブラシをキャンバス上において、乱雑で自由に色を展開することを好んでいた。
原子世界の混沌
この表現方法をダリは原子世界の混沌とした様子だと捉えている。原子爆弾の開発が進むにつれて、一般大衆が恐れおののく中、ダリは反対に感動し、原子爆弾のエネルギーに魅せられ、この表現方法を当絵画に用いている。
広大なキャンバスに色鮮やかなマルガリータ王女とは対照的に、原子爆弾が爆発する様子が描かれている。近くで見ると、敬愛のベラスケスと原子爆弾が爆発する様子が、離れてみると色鮮やかなマルガリータ王女が表れるように、遠近で2通りの見方ができるのも、ダリならではの技法である。
この技法は、ダリの他作品にも随所に用いられている。現在はスペイン(マドリッド)のプラド美術館にて保管されている。
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