作品概要
《悪銭身につかず》は、画家のヤン・ステーンによって制作された作品。制作年は1661年から1661年で、ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館に所蔵されている。

《悪銭身につかず》は、オランダの画家ヤン・ステーンにより制作された油彩画である。
図像
絵の中では、テーブルに座っている男性(ヤン・ステーン本人とされる)が笑いながら、オイスターの食事を楽しんでいる。その右には若い女性が立ち、男にワインをすすめている。後方では、二人の男がバックギャモンのゲームに興じているようである。壁掛けや、テーブルにかけられたペルシャ絨毯、美しい装飾が施された暖炉など、この広い部屋の中にあるものすべてが、富と贅沢さを醸し出している。
しかし、暖炉に刻まれている文字を読むと、オランダ語のことわざで「悪銭身につかず」と読めるのである。実は部屋の中の二箇所に、このことわざが表現されているのだ。
まずは暖炉の左側を見てみると、沈みゆく船、丸々と太った男の子が泣きながら棒にしがみつく様子、そしてとげだらけの植物が詰められた角の装飾が見てとれる。これらは苦難を表現しているのである。一方で暖炉の右側には、穏やかな海を航海する船、丸々と太った男の子が杖を持つ様子、そしてコインがたくさん詰まった角が描かれている。これらは左側とは反対に、繁栄を意味しているのである。
教訓
また、中央に描かれたサイコロは、運を表現しているものである。ヤン・ステーンとしては、すべてのことはランダムで気まぐれなめぐりあわせによるものであり、人間の運命は、瞬き一つする間に全く正反対にも変わってしまうと伝えたかったのである。
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