作品概要
《ベニス・サンマルコ大聖堂広場》は、画家のピエール=オーギュスト・ルノワールによって制作された作品。制作年は1881年から1881年で、ミネアポリスアーツに所蔵されている。

1881年の10月の終わり頃、ルノワールはイタリア旅行をしながら数々の作品を残している。ベネチアでは、主に有名な場所を好んでモチーフに選んだようだ。
本作では、真昼の太陽の下できらきらと輝いているサンマルコ大聖堂を描いている。
印象派の技法
この作品の制作において、彼はアトリエでの修復は行っていないようだ。下絵のような状態でもあり、キャンバスがむき出しで残っている部分もある。
技法は、典型的な印象派のそれで、調合されていないチューブのままの色を使い、ゆるく短い線を多用している。光が降り注ぐ大聖堂とその前の広場を行きかう人々、飛び交う鳩達がみずみずしく表現されている。
大聖堂は実際は石で作られているのだが、この絵の中では、まるで光と色で構成されている雰囲気である。大聖堂以外はソフトなトーンでまとめられ、逆に主役の大聖堂は、鮮烈な色を使って表現されている。
また、作品の右下にはゆるくサインが記されている。おそらく実験の意味合いを持つのであろう。ルノワールのちょっとした探求心のあらわれである。
印象派から古典へ
この作品が制作された当時、ルノワールはすでに画家として人気があり成功を収めていた。しかし、彼の中では、印象派の技法への疑問がふつふつと沸き起こっていた。
この時期、ルノワールは印象派を改めている。より力強く、よりはっきりとした古典的な描き方にシフトチェンジし始めたのだ。
後に彼は「1883年前後の自分の創作活動は、どこか壊れた感が否めない。印象派の技法に限界を感じ、描くことも塗ることもできなくなってしまった」と述べている。
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