作品概要
《秘密の守護者たち》は、画家のジャクソン・ポロックによって制作された作品。制作年は1943年から1943年で、サンフランシスコ近代美術館に所蔵されている。

《秘密の守護者たち》は1943年に制作されている。1943年、ペギー・グッゲンハイムのギャラリーにて開催された自身初となる個展に出展され、ピカソの作品にインスピレーションを得て描かれた最も衝撃的な作品であったといわれる。この作品においては、さまざまなテーマがみごとに合成され、それまで受けてきたさまざまな影響があふれ出している。
図像
キャンバス左右にある抽象的に描かれた男女の秘密の「守護者」は 北西インドのトーテム、エジプトの神々、アフリカのマスクをかぶりトランプやチェスをするものなど、さまざまに解釈されている。底部には、古代エジプトの地下世界のジャッカル神、アヌビスを連想させる犬も確認でき、キャンバス中央には、黒色、白色、赤色、黄色の象形文字のような単純な線が描かれた古代の墓を連想させるものがある。
この作品には、世界の神話、アフリカ、そして、アメリカの先住民族、世界の神話、先史美術が、シュルレアリスムにより変形して表現されると同時に、オートマティスム(自動筆記)が融合されている。構成はアメリカン・インディアンの砂絵、パブロ・ピカソよりインスピレーションを受けているが、ミロの影響もみられる。
抽象化の過渡期
この時期の作品は抽象表現主義(ニューヨーク派)に分類できる。ニューヨーク派は、1940年代から50年代に掛けてニューヨーク周辺にて活躍した抽象表現主義の芸術家グループであった。また、ユング派精神分析の影響も顕著に受けている。
この頃、ポロックはアルコール依存症の治療として、ユング派精神分析や絵画療法を受けていた。絵画療法を通して多くの作品が描かれたが、薄暗い色遣い、密集した絵画空間が特徴的である。これは、背景の青色は不安定な精神状態を反映していると受け取れる。
ポロックの代表作は完全なる抽象だが、《秘密の守護者たち》にはまだ具象表現が残っており、自分の表現方法を模索している様子が現れている。
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