作品概要

歌う女》は、画家のウィレム・デ・クーニングによって制作された作品。制作年は1965年で、リョービ・ファウンデーションに所蔵されている。

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《歌う女》は1965年にウィレム・デ・クーニングによって製作された。

‘50年代

デ・クーニングは女性像をモチーフにした作品を多く残しているが、60年代の作品は女性を風景の中に溶け込ませたような構成となっている。さらに、60年代の作品では彼は女性像のシンボルとして、「唇」を一つのアイコンとして反復的に用いている。多様な女性像の中で唯一「赤く塗られた唇」は共通して用いられており、今作品においては口を開き、他にも木炭画や版画においては唯一色彩が与えられる部位として、画面の中における焦点としての役目を果たしている。

唇に関しては、50年代の作品と60年代の作品では面白い対照が見られる。50年代の女性像をモチーフとした作品においては、女性の口は歯をむき出しにした形で描かれている。それは特に「女Ⅰ」などでも典型的なものとなっている。女性たちは多くの作品において、歯を出してにやにやとした笑い方をしている。

’60年代

それに対して60年代の作品では、女性像において歯が描かれていることはない。こうした対比は50年代と60年代の作品間においてほぼ完全に当てはまる。これらの意味するところとしては、以下の二種の推測がなされている。

まず一つは、唇のみを描くことによって接触性を際立たせている点である。唇からイメージしやすいものはキスマークである。それは例えば口紅を塗った唇を何かに押し当てることによって作ることができるように、そのイメージは物理的に接触することで生まれるものであることが前提となる。

これに対して、歯はそれを表に出した状態で唇のイメージを印象付けることができないため、接触的ではないと言える。デ・クーニングの初期の抽象作品の中にも歯のような形態がいくつか見受けられる。それらは明らかにピカソとキュビズムを経由したものであるが、60年代には全く見られなくなった。

触覚的な女性像

もう一つの推測としては、それが女性器を示唆するものであるということだ。歯の生えた性器である「ヴァギナ・デンタタ」とは精神分析の領域にて生み出された概念であり、シュルレアリスムもしくはポロックの精神分析の引用などによく見受けられるイメージである。それがデ・クーニングにおいては、女性像の中の歯をなくすことで、唇は性器としての意味も持つようになるのである。

人体において女性器は最も触覚的な器官と言える。よってこの点においても60年代のウィレム・デ・クーニングの女性像が本質的に触覚的であることを示唆している。

ウィレム・デ・クーニングは実際にそのような手法でいくつかのドローイングを残しており、それは彼の妻であるエレーヌの唇であったとされている。

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基本情報・編集情報

  • 画家ウィレム・デ・クーニング
  • 作品名歌う女
  • 英語名未記載
  • 分類絵画
  • 制作年不明 - 1965年
  • 製作国アメリカ
  • 所蔵リョービ・ファウンデーション (アメリカ)
  • 種類油彩・カンヴァスに貼られた紙
  • 高さ914cm
  • 横幅610cm
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