作品概要
《トビアスと天使》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1470年から1480年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

本作はイタリアのルネサンス期に精力的に活動しており、またレオナルドが修行していたとされるアンドレア・デル・ヴェロッキオの工房で1470年代前半に祭壇画のために制作された。本作以前に制作されたアントニオ・デル・ポッライオーロの同題作とは類似点が複数ある。
主題
主題は旧約聖書からとられており、父に頼まれて旅に出たトビアスに大天使ラファエルが守護神として同行する場面を描いている。当時の上流階級では、遠方へと旅立つ息子のために、本主題に基づく絵画の制作を画家へ依頼することがしばしばあった。
そのため、2人が身に付けている服装は当時の流行を反映している。
ダヴィンチの関与
オックスフォード大学の美術史家であるマーティン・ケンプ教授によれば、工房の弟子であったレオナルドが、トビアスの右手にある魚を描いた。一方でロンドンのナショナル・ギャラリー勤務のデイヴィッド・アラン・ブラウン氏は、大天使ラファエルの足元にいるふわふわとした毛並みの子犬が、レオナルドの手に拠ると主張している。
もしレオナルドの描画が認められるならば、本作はレオナルドが描いた現存する最初の絵画であるといえる。また、レオナルドは大天使ラファエルのモデルになったとも言われている。
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