ジヴェルニーのモネの庭

《ジヴェルニーのモネの庭》は現在、フランス・パリのオルセー美術館に所蔵されている。印象派の巨匠、クロード・モネが描いた油彩で、制昨年は1900年、彼が60歳の時である。

モネが晩年過ごしたジヴェルニー

ジヴェルニーは、フランス北部に位置する村である。モネは、晩年をこの自然豊かな美しい村で過ごし、そして画家人生に幕を下ろした。

そこで、彼は絵画の制作の傍ら、庭園づくりをスタートさせる。以後その庭園は、彼のライフワークとなり、作品を制作するうえでなくてはならない重要なエッセンスとなる。

モネの庭園づくり

モネは、周囲の美しい自然に溶けあうような庭園を造った。まるで自然と人工のハーモニーを愉しむかのようである。

彼は、自分の庭を見つめては、瞳に映る、移ろいゆく花々や、きらめく自然をキャンバスに収め続けた。ジヴェルニーの庭園は、自然をこよなく愛したモネの、まさに最大の作品とも言えよう。

見どころ

この庭園風景を描いた本作は、紫色とソフトな斜めの線が印象的で、見るものをまるで虹の中にいざなうような美しい絵画である。彼ならではの光と影の演出によって、咲き誇る花々が見事に描かれている。

手前の花々と小道、その奥の木々。そして、その向こうに垣間見えるのは、彼のアトリエ兼自宅という構図。誰もがその小道を、花を愛でながら楽しげに歩き、彼の家の扉をノックしたくなる雰囲気に満ちている。

モネのほとばしる創作意欲

彼は、この作品と同じ年、実に多くの作品を生み出している。60歳の彼の創作意欲は止めようもなく、エネルギーに満ち溢れていた。

２シリーズの連作の制作に、精力的に取り掛かりはじめたのもこの年である。１つはロンドンのテムズ川シリーズ、そしてもう１つは、ジヴェルニーの庭園シリーズである。

モネの傑作・連作《睡蓮の池》

ジヴェルニーの庭園シリーズの中には、かの有名な《睡蓮の池》も含まれている。現在、この《睡蓮の池》はボストン美術館に所蔵されている。
《睡蓮の池》は、またたく間に評判となり、画商デュランは実に10点以上もの睡蓮シリーズを彼に描かせたという。

《睡蓮の池》は、まさしくモネの最高傑作である。