作品概要
《シテール島への巡礼》は、画家のジャン・アントワーヌ・ヴァトーによって制作された作品。制作年は?。

雅宴画
大庭園や田園など豊かな自然の中を着飾った男女、恋人たちが優雅に散策している絵を雅宴画という。本作はヴァトーの最高傑作かつロココ様式台頭のきっかけとして認知されている。主題は愛の島と呼ばれたシテール島。「訪れれば必ず理想の伴侶に出会える」と言われたこの島で、男女が夢のようにロマンチックな幻想物語に身を委ねている。
哀愁
ヴァトーの活躍したルイ15世の時代、もはや貴族は政治力のない時代であった。かつての華やかな生活を宴や恋で気晴らしする貴族を、画家はメランコリーとエロティシズムを漂わせて描いた。本作も旅に乗り出す所ではなく、終結の場を描いたことことに画家の意図が表れている。この場面を選んだことで、作品に微かな哀愁を漂わせることに成功している。画面右方、皆が帰り支度をする中で、一組だけまだ愛にのぼせて盲目になっている。立ち去ろうとする一人の女性が、それを悲しげに見つめているが、それは彼女が愛が束の間のものだと知っているからだ。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。