作品概要

ウェヌスとクピド》は、画家のルーカス・クラナハによって描かれた作品。制作年は1525?年で、ナショナル・ギャラリーに所蔵されている。

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ルカス・クラナハ(父)は熱烈な宗教改革の支持者であると同時に有能な経営者でもあり、また才能ある芸術家でもあった。彼は当時の宮廷人の好みを熟知し、彼らの求めに従って自分の才能を発揮した。この『ウェヌスとクピド』は他のウェヌスやルクレツィア、パリスの審判や三美神を描いた絵と同様に古代ギリシャの神話を題材とし、むしろそれを口実として優美な裸体を描いた作品の一つである。

同時代の画家デューラーがイタリア風の解剖学的に正しく、古典彫刻を基盤としているのとは対照的に、クラナハの裸体表現の様式はあくまで優雅で、うねるような形態が特徴的である。このような裸体画はドイツの王侯貴族の好みにかなったものであった。このような様式は1世紀前の「国際ゴシック様式」にさかのぼる。

国際ゴシック様式は14世紀後半から15世紀前半にかけてフランスや北イタリアで始まった美術の様式で、その後西ヨーロッパ全体に広まった。この様式は宮廷風の洗練、色彩の鮮やかさ、細かな細部、そして引き伸ばされた人物の形態によって特徴づけられる。15世紀後半にはケルンとプラハというドイツ語圏の二地域が国際ゴシックの中心地のひとつになっていたので、クラナハはこれらの地で制作された作品からこのような裸体表現を学んだのであろう。

画面の右には遠くまで風景が広がり、左側には森がある。一番手前のたくさん実がなったリンゴの木のしたにウェヌスと彼女の息子のクピドがいる。クピドは木の根元の裂け目から蜂の巣を取り出したために蜂に追い回されて泣いている。ウェヌスはクピドの悪戯を叱ってこう諭す。「蜂が小さくてもあなたを刺すように、あなたも小さいけれど愛の痛みを与えるのです」。なぜならクピドは三種類の矢で人を射て、恋に落ちるよう仕向けたり誰かを嫌うようにしたり、恋愛感情を自在に操る神だからである。

基本情報・編集情報

  • 画家ルーカス・クラナハ
  • 作品名ウェヌスとクピド
  • 制作年不明-1525?年
  • 製作国ドイツ
  • 所蔵ナショナル・ギャラリー (イギリス)
  • 種類板、油彩
  • 高さ81.3cm
  • 横幅54.6cm
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