作品概要
《ヴィリバルト・ピルクハイマー》は、画家のアルブレヒト・デューラーによって制作された作品。制作年は1524年で、大英博物館に所蔵されている。

《ヴィリバルト・ピルクハイマー》は、アルブレヒト・デューラーによる銅版画である。
人物
ヴィリバルト・ピルクハイマーは非常に高名な人文学者であり皇帝の顧問官、ロッテルダムのエラスムスの友人、ニュルンベルク市参事会の会員、ギリシャ語とラテン語の古典学者、スイス独立戦争のニュルンベルク分遣隊の指揮官であり、そしてアルブレヒト・デューラーの親友兼相談相手であった。
デューラーがピルクハイマーに宛てた手紙が今日まで伝わっており、そこでは冗談を交わし合う若き日の親密な二人の間柄をうかがい知ることができる。この銅版肖像画をデューラーが制作したのは中年になってからで、その少し前にピルクハイマーは痛風の痛みのため市参事会会員から引退した。
新しい形態
銅版画による肖像画はデューラーが発案した新しい肖像画の形態である。ここではピルクハイマーは胸より上だけがモニュメントのように銘文の上に表されて、さながら古代ローマの墓碑のような様相を呈している。
銘文にはピルクハイマーの業績と性格とがラテン語で次のように書かれている。「53歳のヴィリバルト・ピルクハイマー像。知は永遠に生き長らえ、その他は死すべき運命にある。1524年」。この句は古代ローマの歴史家リウィウスの『ローマ建国史』第3章36節に基づいている。
描写
この肖像画においてもデューラーは瞳の中に窓の反射光を描きこみたいという誘惑に抗えなかった。彼は他の絵、例えばウィーンのアルベルティーナに所蔵される有名なノウサギの水彩素描においても目の中に映った窓の光が描かれていて、これはデューラーが自らの着想の豊かさや写実の腕、観察眼の鋭さを誇示する工夫であった。
デューラーは親友ピルクハイマーのブルドッグのような風貌を理想化することなく描いた。美しい風貌とはいえないにもかかわらず、その力強い量感が一種のエネルギーになってその目からサーチライトのように照射されるように思われ、ピルクハイマーの有能さとデューラーの技量を感じ取ることができる。
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