作品概要
《髪をほどいた若い女性の肖像・髪を結い上げた若い女性の肖像》は、画家のアルブレヒト・デューラーによって制作された作品。制作年は1497年で、シュテーデル美術館に所蔵されている。

この作品はアルブレヒト・デューラーによる肖像画である。『髪をほどいた若い女性の肖像』(フランクフルト、シュテーデル美術館)と『髪を結いあげた若い女性の肖像』(ベルリン絵画館所蔵)との2枚1組の二連画として制作された。シュテーデルの作品では女性は手を合わせ目を伏せて祈っているが、ベルリンの作品では女性はエロティックな含意のある花を持ってこちらを見つめており、明らかに両者は対比されている。
どちらのパネルにも背景にはフュアレーガー家の紋章があり、同家の女性のうち誰かの肖像であるとも推測されてきた。二人のうち暗い背景の女性はは修道院に入って祈りに身を捧げることになった女性であり、もう片方は開かれた風景を前にしていてこれから結婚を控え、世の中に出ていく女性であると考えられたのである。しかしその紋章は後になって書き足されたものなので、女性たちの正体は全くの不明とする説もある。
シュテーデルの肖像画は細かい筆遣いで描かれていて、明暗の鋭いコントラストが顔に彫塑的な印象を与えているため、生き生きとした表情になっている。ベルリン絵画館の肖像画はより保存状態が悪く、後世の描きなおしによって背景の風景の部分は最初の状態がわからなくなっている。
1635年にこれらの絵はイギリスの貴族アランデル伯爵に購入され、彼のお抱えの版画家がこの2枚の絵をもとに版画を制作した。1673年にオルミュッツ大司教によって2枚同時に購入され、更にミュンヘンの画家カール・フォン・ヴァーゲンの手を経て『髪をほどいた若い女性の肖像』は1849年からフランクフルトのシュテーデル美術館に、『髪を結いあげた女性の肖像』は1977年からベルリン絵画館に所蔵されている。
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