作品概要
《トリヴルツィオ騎馬記念像のための素描》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1508年から1508年で、ウィンザー城王立図書館に所蔵されている。

この素描は1508年から1509年ごろレオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた。画面には右側面から見た騎馬祈念像がペンで表現されている。大小4つの素描はそれぞれ土台が異なり、馬上の人物の姿も違っている。一番上の素描では人物は斜め後ろに体をねじりながら鞭を前向かって振っていて、土台は描かれていない。
右下では人物は前を向いており、前足を上げた馬の下には別の人物が倒れている。左下では馬上の人物が体をこちらに向かって開いていて、やはり馬の下では別の人物が倒れている。そのさらに左には最も小さな素描があり、人物の様子ははっきりしないが土台部分は他の2つと異なっている。このようにレオナルドはこの紙で人物や土台の組み合わせの様々な試行錯誤を重ねていたと思われる。
4つの素描に共通しているのは馬が後ろ足だけで立っているという点で、これは当時非常に難しいとされていた。ジャン・ジャコモ・トリヴルツィオ(1440または41年-1518年)はミラノ出身の傭兵隊長であったが、1499年にフランスがミラノを侵攻した際フランス側に立ってフランス軍を勝利に導いた人物である。その功績により彼はフランスの国王元帥になった。
ジャン・ジャコモは美術愛好家としても知られ、ミラノのサン・ナザーロ・マッジョーレ教会の中に自らの名前の付いた礼拝堂を設けたり、同市のスフォルツァ城に飾る12ヶ月を表したタピスリー連作を制作させたりした。彼は死の10年ほど前、つまりミラノ侵攻から約10年後にレオナルドに自らの墓を装飾するための記念騎馬像を注文したようだ。
レオナルドは何枚もの素描を描き、等身大のブロンズの騎馬像と墓を兼ねた大理石の土台を制作するのにかかる費用を詳細に見積もった。しかし作品は現存せず、それどころか彼が実際の作品制作に取り掛かった形跡もない。
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