作品概要
《船の寓意画》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1495年から1495年で、ウィンザー城王立図書館に所蔵されている。

この寓意的な素描は1495年ごろレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された。中央に海に浮かぶ帆船があり、船尾には一匹の狼がいて右前足をコンパスにのせて、左前足で舵を持っている。マストはオリーブの木でできている。コンパスはまっすぐに画面右の鷲をさしていて、その鷲は岸に置かれた球体に乗っている。背景は岩山である。
この素描は一般的に政治的な寓意を含んだ作品だと考えられている。素描の様式や紙の特質を考慮すると、この素描は1490年代中盤の作品だと推測できる。この頃レオナルドはこのような動物による寓意画の制作を熱心に行なっていたようだ。鷲は明らかにフランス王の冠を被っており、船は普通教会のシンボルである。更に熊は古代ローマの建国神話に登場する熊を除けばたいていはネガティヴな意味に捉えられる。
例えば大食、強欲、そして収賄であり、それらは皆当時の教皇アレクサンデル6世と結び付けられていた。1494年9月にフランス王シャルル8世はナポリの王位を求めてイタリアに侵攻し、アレクサンデルはその王位を認めざるを得なかった。彼の不満をよそにシャルルはローマで行進を行い、ナポリ王として戴冠した。これがこの寓意画の背景にある事情だと思われる。
すなわち、力が弱まった教皇(熊)がフランス王(鷲)の言うがままに導かれるというのである鷲は明らかにフランス王の冠を被っており、船は普通教会のシンボルである。1490年代にレオナルドはミラノの宮廷画家であったが、当時のミラノ公ルドヴィーゴ・スフォルツァは教皇との同盟を放棄してフランス軍の領内の通行を許した。このためミラノ宮廷内はフランス寄りの感情が支配的であった。この素描は恐らく完成作として制作されており、ミラノ宮廷の人々の鑑賞に供されたのだろう。
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