作品概要
《自然災害》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1517年から1518年で、ウィンザー城王立図書館に所蔵されている。

この作品はレオナルド・ダ・ヴィンチによる洪水のスケッチである。木の生い茂る丘の上の気流は形を持ったかのように巨大な爆発物として描かれて、激流が中央を貫いている。角ばった岩の塊が空から落ちてくる。その上を黒々とした雲が覆い、そこから滝のような雨が降り注ぐ。
絵で描くにしろ、文章で描くにしろ、このように破滅的な嵐の情景は死ぬ10年前ごろからのレオナルドのお気に入りのテーマであった。いくつかの手稿で彼は風景全体を覆い尽くす巨大な嵐と自然の力に対して無駄なあがきを試みる人間や動物の姿を描写している。この時期に制作された洪水のテーマの素描のうち10点は同じ大きさと様式で描かれているが、用いられている技法は異なっている。
多くは黒のチョークだけで入念に仕上げられているが、この素描は破壊の様子に明確な形態と整然とした印象を与えるためにペンによってさらなる仕上げが施されている。画面の上部の雲の中には隠れるようにしてレオナルドによるメモが残されている。
これらの洪水の素描はおそらくレオナルドの人生の最後の数年の間、すなわち彼がフランス王フランソワ1世(在位1515-1547年)の庇護のもと生活していた時に制作された可能性が高い。
裏面には何も描かれておらず、素描のうちのいくつかには紙のふちにそって描かれた枠が残っているので、これらの素描は一つの完成された作品として構想されたと考えられる。レオナルドの後期の素描の多くがそうであるように、これらの素描は高度に完成され入念な仕上げが施されている。これらはおそらく注文されて制作されたのではなく、彼自身の純粋な喜びのために制作され、彼の工房から出ることはなかった。
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