作品概要
《レダの頭部》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1505年から1506年で、ウィンザー城王立図書館に所蔵されている。

ここに描かれているのはレオナルド・ダ・ヴィンチによる様々な女性の頭部のスケッチである。右の大きく描かれた女性は左に振り向いていて、四分の三正面で下に視線を向けており、髪は入念にカールされ編まれている。その下には後ろから見た頭部が描かれている。左側にはまた四分の三正面と後ろからの素描がある。
これらは皆、レオナルドの18世紀に失われた絵画作品『レダと白鳥』のための頭部習作である。レダはギリシャ神話の登場人物で、アイトーリア王テスティオスの娘、スパルタ王テュンダレオースの妻である。ギリシャ神話の最高神ゼウスは天からレダを見初め、彼女を油断させるために白鳥の姿になって誘惑した。その密通の結果レダは卵を生み、そこからヘレネ、カストルとポリュックスなどギリシャ神話の重要な人物が生まれた。
失われた『レダと白鳥』の模写が数多く残されており、それらによってレオナルドのオリジナル作品の内容をある程度推測できる。そこでは立っているレダにゼウスが変身した巨大な白鳥が彼女の左後ろから絡みついている。レダは視線をこの素描と同じように右斜め下に向けて拒むそぶりを見せながらも、実は両手で白鳥の首を抱いている。
レオナルドはこの素描ではレダの表現にはあまり努力を払っていないように見える。彼女は単純に下向きに視線を送っている。顔に関しては更に質が低く、おそらく弟子によって顔の部分は「書き込まれた」ようだ。その代わりにレオナルドはその注意力を一心にレダの複雑な髪型に注いでいる。
つまり、密なカールや複雑な編み込みなどに、そして後ろ姿にさえ。この後ろ姿は油彩画制作にあたっては全く必要のないものだったのにもかかわらずである。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。