作品概要
《東方三博士の礼拝のための習作》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1481年から1481年で、ルーヴル美術館に所蔵されている。

未完の作品の習作
レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた素描《東方三博士の礼拝のための習作》はイタリアのスコペートにあるサン・ドナート修道院のための絵画の準備素描として制作された。
注文は1481年3月に正式に行われ、9月までレオナルドは準備を続けたが、彼がフィレンツェを去ってミラノに向かったために、ついに《東方三博士の礼拝》が完成することはなかった。
主題
その未完成の絵は現在フィレンツェのウフィッツィ美術館に所蔵されている。背景ではキリストが生まれたベツレヘムの馬小屋に3人の博士たちが到着するところで、前景では彼らが聖母マリアに抱かれた幼児キリストを礼拝している。伝説によれば彼らは東方の博士、あるいは王であり、救世主が生まれたというお告げを天使から受け、星に導かれてはるばるここまで来たという。
彼らは高貴な身分でありながら、それぞれ贈り物を携え、粗末な馬小屋で生まれたイエスに前に跪くのである。このテーマは15世紀のフィレンツェで非常に人気があったが、レオナルドはこの素描で単なるキリスト教の歴史的物語ではなく幼児キリストの誕生による革命的事件を表現したかったのである。
特徴
従来の作品のような細々とした小道具や舞台装置は排され、人物や廃墟のリズムや動きによって感情表現が確立されている。このような「身振りの増幅」の効果は15年後に、《最後の晩餐》の中央で使徒たちの間に波打って広がっていく感情として見ることができる。
この素描はサン・ドナート修道院の絵のための準備素描のうち最初期のものだと思われる。ヨーロッパ各地に分かれて保存されている準備素描は人物それぞれを個々に描いたものであり、それらの基礎としてこのルーヴルの素描は重要な存在とみなされている。
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