作品概要
《絞首刑にされたベルナルド・ディ・バロンチェッリの素描》は、画家のレオナルド・ダ・ヴィンチによって制作された作品。制作年は1479年から1479年で、ボナ美術館に所蔵されている。

主題
この作品はレオナルド・ダ・ヴィンチによる1479年のペン素描である。描かれているのはベルナルド・ディ・バンディーニ・バロンチェッリという人物である。
彼はフィレンツェの貴族で、パッツィ家の陰謀事件に加担してコンスタンティノープル(現イスタンブール)にまで逃げたが捕縛され、1479年12月に絞首刑に処された。その様子を描いたのが本素描だ。
背景
パッツィ家の陰謀とはフィレンツェの貴族パッツィ家が敵対する同市の貴族メディチ家の当主ロレンツォらを暗殺しようとした事件である。その当時両家は銀行業のライバル同士として激しく対立していたが、パッツィ家は教皇シクストゥス4世の後援を得てフィレンツェの覇権を得ようとし、ロレンツォらの排除を目論んだ。
そしてついに1478年4月26日にサンタ・マリア・デル・フィオーレでのミサの席上で暗殺は決行された。ロレンツォの弟ジュリアーノが殺害されたが、ロレンツォ自身は生き残った。
この暗殺は予想に反してフィレンツェ市民の反感を買い、パッツィ家の当主ら100人以上が次々に処刑された。この事件の結果、かえってメディチ家の支配は磐石なものとなり、以後フィレンツェはメディチ家が支配することになる。
26歳のスケッチ
この処刑を26歳のレオナルドは興味深くスケッチし、その横に彼特有の鏡文字で詳細なベルナルドの服装の説明も残している。服装は当時のコンスタンティノープルのファッションであり、逮捕されてから着替える間もなく処刑されたことを物語っている。
この素描はフィレンツェのパラッツォ・ポデスタの外壁のために構想された、裏切り者の処刑場面の壁画の準備素描だった可能性もあるが、この壁画は実現しなかった。
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