作品概要
《雪中の狩人》は、画家のピーデル・ブリューゲルによって制作された作品。制作年は1565年から1565年で、美術史美術館に所蔵されている。

本作は、1565年に制作された全6作品の連作月暦画であり、うち1作品は消失している。現存するのは、早春を描いた《暗い日》、夏を描いた《干し草の収穫》、秋の《穀物の収穫》、晩春の《牛群の帰り》、冬を描いた本作の5作品である。
北方風景画の萌芽
ピーデル・ブリューゲルは、低地諸国で風景画の伝統が確立する上で大きな役割を果たした。この冬景色はブリューゲルの最盛期に描かれた、同分野におけるブリューゲルの最高傑作である。
北方ヨーロッパでは、風景画は個別のジャンルとして誕生したのではなく、時禱書の月歴図から派生した。例えば、この絵は最初から《雪中の狩人》と呼ばれていたわけではなく、連作季節画の中の1枚で、アントワープの裕福な銀行家ニクラース・ヨンゲリングの依頼で制作されたものだ。
想像上の風景画
当時の風景画に対する一般的な態度は、現在とは全く違っていた。ブリューゲルは細かい部分を非常に丁寧に描いていて、スケートやそり遊び、カーリングをしている人々の姿は特に楽しげである。
だが当時の風景画は、実在する場所を正確に描くことは求められておらず、合成された風景を描くものであった。すなわち本作もまた、実際の風景ではなくあくまで想像によって生み出されたものだ。
遠くの山並みは、1552年から1553年にかけて画家がイタリアへ行く途中で通ったアルプスのスケッチに基づいており、残りの部分は生まれ故郷ベルギーの平坦な土地に着想を得ている。
こちらで、ぜひ本作品の感想やエピソードを教えてください。作品に関する質問もお気軽にどうぞ。