作品概要
《黄色の丸太》は、画家のエドヴァルド・ムンクによって制作された作品。制作年は1912年から1912年で、ムンク美術館に所蔵されている。

《黄色の丸太》は晩年の作品であり、1912年に制作された。晩年、ムンクはヨーロッパを周遊しながら各国にて制作活動を行っていたが、1902年6月、当時の恋人トゥラ・ラーセン (Tulla Larsen)が恋愛トラブルから発砲事件を起こした。発砲事件により、ムンクは精神不安定な状態に陥り、アルコール依存となった。そのため、1908年から1909年に掛けて精神病院にて療養生活を送っていた。
作品では、松など常緑針葉樹が生い茂る森林が描いている。クラーゲリョー(ノルウェー・テレマルク)の景観であるといわれる。ムンクは、鮮やかな黄色の丸太、紫色の木の幹を通して、「生」「死」を対比表現している。キャンバスの中央には、黄色の丸太がある。丸太の樹皮には、褐色の縦縞模様が描かれている。キャンバス前方の樹木は先端と根本は断ち切られ、幹のみが描かれることによって、奥行が生まれている。前方にある樹木の描写により、丸太の両側にある木々は後方にあるように見え、四方に無限に広がる森林が表現されている。合わせて、遠近法により丸太は強調されて長く見え、先端は天に向かうかのように後方にある背の高い樹木の根本まで伸びている。
本作品は、アールヌーボーの影響を受けて描かれている。アールヌーボーは流動的な曲線が特徴的な芸術様式であり、19世紀末から20世紀初めに掛けて、フランスを中心としたヨーロッパにて流行した。ムンクはアールヌーボー様式にて複数の森林風景画を制作しているが、他の作品と比較すると、「黄色の丸太」は自然主義表現が強い作品である。合わせて、情緒的な色遣い、強調された対象の描写は、表現主義表現の特徴も兼ね合わせている。現在、「黄色の丸太」はムンク美術館(ノルウェー・オスロ)にて展示されている。
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