作品概要
《カルメリーナ》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1903年から1903年で、ボストン美術館に所蔵されている。

概要
《カルメリーナ》はアンリ・マティスが描いた油彩画で、大きさは81.3㎝×59㎝、現在アメリカ・ボストン美術館が所蔵する。本作品はフォーヴ初期の1897年から1900年と新印象派時代とへ移行する1904年から1905年の過渡期にマティスが描いた、古典的な絵画様式へ一石を投じる傑作である。
画法と酷評
しっかり固定されたポーズをとる画面の人物は、19世紀リアリズムを想起させるが、マティスの初期の作品の中にその後のマティスの大胆な画法を予感させる。本作品は、野獣派としての活動を行う4年ほど前の1903年の作品で、発表当初批評家から「優雅さに欠けた裸のモデルを使った含みのない作品」との酷評を受けた。
ニグロ彫刻への関心
男性のように力強い本作品は、女性の裸体に繊細さ・優美さを求めた当時の常識に反したものだった。このような作品が描かれる背景にマティスが当時持っていたアフリカの二グロ彫刻への強い関心がある。マティスは二グロ彫刻について次のように述べている。
「それは、ギリシアの古典期の彫刻よりも美しい、それは、わたしのエモーションを引き出す。」二グロ彫刻の原始的で素朴な造形は、フォーヴの直接的で強烈な心的表現に大きく繋がることになる。
構図
マティス初期の作品は青を多用したが、本作品では黄土色を中心としている。人物の体は襞のある掛け布と一体化し、女性の丸みを帯びた体は額縁の長方形と相容れない。
鏡とスケッチ画が壁にピン止めされている。俯瞰で見ると光と影のコントラストが明白だ。不自然すぎる真正面からポーズを取ったどっしりとしなやかな人物の体は、実際よりも硬直してぎこちなく見える。
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