作品概要
《黄色のオダリスク》は、画家のアンリ・マティスによって制作された作品。制作年は1926年から1926年で、カナダ国立美術館に所蔵されている。

《黄色いソファーの上の裸婦(あるいは黄色のオダリスク)》は、1926年にアンリ・マティスが描いた55.1㎝×80.8㎝の油彩画で、1958年にカナダ国立美術館が購入し、現在も所有する。
ムーア人の風習に倣った「オダリスク」としての横たわる裸婦は、煌びやかで豊かな色彩とフォルムで描かれている。本作品は、1920年代のマティスの最も重要なテーマを代表する作品のひとつに数えられる。
歴史的背景
イタリアルネサンスの画家、ティツィアーノ・ヴェチェッリオから、フランスの19世紀ロマン主義を代表する画家、フェルディナン・ヴィクトール・ウジェーヌ・ドラクロワに至る、本作品と類似したテーマの「遠方視作品」を想起させる。
が、むしろ「フランス新古典主義」の画家ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングルの絵画表現手法(あるいはフランス人画家ジャン=レオン・ジェロームのやや好色なイメージ)に則った、ハーレムの詳細な「トポグラフィー的視点」で描かれた作品である。
構図
画家のアトリエにいる裸婦が画面中心に描かれ、画家のコレクションである、室内の装飾品がエロティックな雰囲気を盛り立てる。画家は、画中では即席のアトリエに置き換えてはいるが、古代の偉大な神話的絵画に登場する「地上の楽園」という古典的テーマにまで拡張させている。
「横たわる裸婦」というテーマは、ポスト・フォーヴとしての《ブルーヌード》や《生きる喜び》、1911年の《茄子のある室内》の背景を若干修正した、1916年頃の作品《眠る裸婦》などがある。
前述の裸婦を描いた作品と10年以上後に描かれた本作品との関連性は明白で、マティスの作品に脈々と流れるテーマである。
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